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日本の伝統美術と琳派

若い頃の私は、日本人の手によるデザインが素晴らしいとは特に思わなかったものです。なぜなら、日本には日本にしかない独特のデザイン様式があると思えなかったからです。私自身大学で習うデザインや、華やかなデザイン雑誌にはバウハウス的様式であったり、イタリアの現代デザインであったり、ニューヨークの近代美術館に並ぶような西洋的なデザインだったりして、それらに慣れ親しみ、ため息が出るほど西洋的デザインに憧れを感じたものでした。それがあたかも日本という国の輝かしい未来のデザインであるがごとく思ったものです。

時代背景として、私が育った近代日本国には、日本のオリジナルデザイン様式が失われて行こうとしていたのでは無いか? そう思えるくらい西洋文化と日本文化の混濁があった。

おそらくそれは明治時代から昭和に至るまで、日本が近代国家を築く上で、人々の生活に西洋デザインをどんどん取り入れていく必要性があったからと思えます。

建築界においても、東京タワーがエッフェル塔の真似であったり、東京駅があのような西洋様式の建築になったのは、日本が成長して世界と肩を並べようとする姿の象徴のような気がします。

昭和にはいってからは戦後高度成長期時代に豊かさの象徴として電化製品の三種の神器と呼ばれる『テレビ』『洗濯機』『冷蔵庫』が一般の家庭でも手の届く価格帯で売られるようになって行きました。それは豊かになるためには 西洋の真似をし、西洋に追いつくことが日本の未来の理想だったからではないでしょうか?

新時代の生活必需品を松下電器などの日本を代表する企業が大量生産することによって 西洋的プロダクトが日本の生活を支え、変革をもたらし、日本文化を塗り替えていったと言ってもいいでしょう。

しかしながら、現在では世界で日本独自の文化が見直されてきています。

国際オリンピック総会で滝川クリステルが『お.も,て,な,し』と言った瞬間に世界中にその言葉が広がるというのは 過去、繁栄を誇った日本の歴史上にでも無かったことだと私は思います

バブルの一番繁栄を誇った時代でも、日本人はエコノミックアニマルだと、誹謗はされても、クールジャパンとは決して、言われなかった。

なのに昨今では

日本の憂いや日本のおもてなしや、日本の自然や 日本の美や 日本の精神が、世界で注目を浴びるようになって来ています。そのように思えるのは私だけでしょうか?

もしも日本の文化を世界が注目しているとしたら、それはやはり、日本人が独特の文化を持っているからに他なりません。

戦後、日本はなんとか西洋に追いつこうと西洋の文化をどんどん取り入れてきたように思えますが、それでも完全に自国の文化を無くしてしまうことはできなかった。

それはなぜなのか?そして、それはなんなのか?

これは私の勝手な思いですが 日本の独特の文化があるとするなら、日本人の心の中には自然に対する信仰のようなものがあるのでは無いかと私には思えます。

東日本大震災が起こった直後の日本人の行動は、外国人では考えられないほど冷静で、協力し合い、困難を乗り越えようとする。それは『自然と生と死が一体』だから。という日本人が持つ独特の信仰であると思います。

日本人の自然に対する心は、自然にこそ神が宿っていると考え、死んだ後も自然に還る。日本人には信仰が無いと言われ、日本人自身も無神論者と自らのことを言いますが、西洋的な神に対する信仰心が無いというだけで、結局日本人の心には『生活や自然の中には神が溶け込んでいて、やがて死を迎えても自分もそこに帰っていく』というような事を信じているような気がします

それが自然に対する恐れや 自然の美の中に生活を溶け込まそうとする日本人の本能のようなものであると私は信じています そういう自然に対する尊敬や、恐れや、美的感覚、といったものがこれからの日本デザインには表現されるだろうと私は予測します

さて、日本には日本独特の美というものがあると思いますが、それはどんなモノなのか?日本美術史年表という本が私の手元にありますが、これらの歴史的書物を紐解いて日本美術の歴史をみても、元来、日本の美というものは、中国から渡ってきた水墨画の影響が濃いものであったり、チベット仏教から影響を受けた宗教絵画であったりします。中国美術の影響を受けているのは、雪舟などの水墨画を見れば一目瞭然ですし、建築様式にしても中国から影響を受けています。日本独自の美などというものは一体どこにあるのでしょうか?

実は、日本独特の美が色濃く出てくる時代があります。 ここから近代日本美術が始まったのではないか? つまり、今までは中国の影響や仏教の影響から逃れられなかったのですが、ここを境に日本独自の美的感覚が始まったと言ってもいいでしょう。

a0212807_23474620その時代こそ、江戸時代中期の琳派の時代だったと私は個人的に思います 特に、尾形光琳絵画は、完全に中国絵画や仏教絵画の影響から解き放たれ、日本人独特の芸術感覚となっていると私は思うのです

紅白梅図や燕子花図などは、現代グラフィックデザイナーでもこれほどの近代的デザインができるだろうかと思えるほど、恐ろしいほどの緊張感と切れ味がある作品となっている。

これほどの作品が日本の歴史上に過去、無かったのではないか?そう思えるほど強烈な独特の美的感覚。突然変異的変化です

さらに、驚いたことに尾形光琳はプロダクトデザイナーのようなことをしており、八橋蒔絵螺鈿硯箱というプロダクトも残しているのが印象的です

このような様式の感性は中国美術にはなかったはずです。

さらにこの時代は琳派だけでなく、写楽なども突然変異的に日本独特の芸術を発達させた時期だと思います。 この頃の江戸中期の作品、浮世絵や琳派はヨーロッパの印象派に影響を与えたり、アンディウオーホールのポップアートに影響を与えたりするほど強烈なのです。

その後も琳派は現在に至るまで日本芸術界に受け継がれていくのですが、今年、2015年というと琳派誕生からちょうど400年。 今後、現代プロダクトデザインに自然のモチーフを取り入れたり、琳派的デザインを受け継いでいくのは、新しい近代日本デザインの一つの姿となるような気がします 私自身も琳派の魅力に魅せられてデザインをしていきたい一人です