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横尾忠則 異界と死

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三島由紀夫と芸術と言えばこの人を意識せずにはいられない。
異界のアーチスト横尾忠則である。

横尾忠則は、死を恐れるあまりに死を理解しようとした。それが作品に色濃く現れてくる。
代表作品に1965年に横尾忠則死亡広告を発表、それ以後、異界と現界の狭間を表現するような作品が増える

三島と横尾は親しい交流があったので、まるで三島由紀夫が横尾忠則のデビューを手助けして横尾忠則が有名になったように言う人がいるが、僕は決してそうは思わない もちろん三島由紀夫の存在は 横尾忠則が有名になる事にかなりの影響力があったには違いは無い。しかし、もともと横尾忠則の芸術には三島由紀夫を引きつける何かがあったのだ。

その何かとは、三島風に言うと、戦前のノスタルジックアート ハエ取り紙の広告の金ぴかと古ぼけた感覚。便所の臭い、戦時中の空襲のイメージ、生と死の狭間のイメージ。
黄泉の国からこの世に湧き出た様なグラフィック。そして、エロスであった。

エロスと死は、丁度コインの裏表のようにそれぞれに影響し合う。コインの表側、生の象徴として、横尾忠則は好んでエロスを表現した。エロスは死をいっそう引き立たせ、死はエロスをいっそう引き立たせる効果がある。
毒々しい色合いと、生々しいテーマ。それまでおよそ誰もモチーフにしなかった、『よだれ』という作品があるが、あまりにも横尾忠則の作品が異様なので、彼の作品を見た著名なアーチストたちは、下品な作品と批評した。

三島由紀夫もまた、横尾の芸術をなんという無礼な作品であるか?と言った。しかし、三島由紀夫はそういう死とエロスを表現する横尾忠則の作品をこよなく愛したのだ。
そして制作者である横尾忠則自身も三島由紀夫に愛された。

余談だが、三島由紀夫が横尾に対しての晩話が有る。
横尾忠則が三島由紀夫に会う時、いつも横尾は遅刻してくる。三島由紀夫は「遅刻してくるなんてお前は無礼だ 芸術は感性と言う縦糸に対して横糸は礼節で出て来ているモノだ」とお説教をする。
天下の三島に説教されて、横尾は恐縮し、今度は、遅刻しないように5分前に面会の時間に行く。しかし三島はもっと早く来ており、『なんだヤッパリ無礼じゃないか』という 横尾は『いやしかし、時間には遅れていません』というと三島は 『でもお前は俺より遅い』と諌めた。
また、横尾は三島の顔や姿を挿絵に描く際、三島をモチーフにし、ゴリラにみたてて描いたりしていた。
三島はそれを見て激怒していたが、『無礼な奴』とは言わないで、剣道の試合を横尾に申し込んでコテンパンに叩きのめしたと言う。

三島由紀夫は、自分に対して、御世辞を言ったり、本当の事を言わない人物を愛さなかったが、反対に、横尾の様な本当の事を言ったり、自分の意見を主張する人間を気に入るという人物であった。
無礼だ無礼だと、諌めたり、剣道で横尾を虐めたのは三島の横尾忠則に対する独特の愛情表現だったのだろう。

話をもどそう。
とにかく、横尾の死を表現する力みたいなものに、三島は引かれた。
三島由紀夫の死の直前、横尾忠則に三島自身の写真集である薔薇刑という作品を依頼していたが、横尾はその薔薇刑の制作矢先に、突然交通事故に会う。そのために作品の完成どころか 再起不能ではないかと言う事態におちいってしまった。三島由紀夫は横尾が入院したのを知り、見舞いに行ったが、両足を切断しなければならないかもしれないと言う横尾に対して、見舞いどころか借金取りのように早く依頼している仕事を完成させてくれと言ったそうである。

しかし、三島由紀夫と言う男は、本来そのような礼儀を欠いた非常識な事を言う人間ではなく、大変礼儀正しく、相手を思いやる事を忘れない人物なはずなのだが、この様な見舞いの仕方をするのは横尾は合点が行かないのであった。

薔薇刑が完成したのち、この作品を見た三島由紀夫は甚く気に入り、自分の涅槃像だと横尾に言い残した。その意味を横尾は解らなかったのだが、その数日後、三島は割腹自決をする。横尾の入院中、仕事を早くしろと要求したのは三島自身がいつ死ぬかを決めていたからだと彼の死後、横尾は気づく。

さらに、三島が死ぬ前夜に横尾忠則は用もないのに三島宅に電話をかけている。その時に三島は横尾忠則の動かない足に対して、『俺がその足を直してやる』と言い残し、明くる日に陸上自衛隊総監室で自決した。不思議な事に横尾忠則の足は三島が自決した時から動くようになったと言う。

生きながらにして異界と交流しようとする、涅槃の芸術家、横尾尾忠則にぴったりの晩話ではないか。